- 土肥 克彦
- 有限会社アイジェイシー 代表取締役
バングラデシュニュースに見るビジネスのヒント!
第4回:ファストリ、バングラデシュで貧困層向け衣料販売
今回は、日経新聞などで報じられ、発表後大きな話題ともなった、ユニクロに関するこの話題を取り上げます。
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、バングラデシュで貧困層向けの融資を手掛けるグラミン銀行と協力して、同国で衣料の製造・販売を手掛ける新会社を設立します。ファストリ主導で生地の調達から製造、販売まで一貫してバングラデシュで手掛け、販売員は農村で家屋を訪問するなどして、貧困層向けに1着平均1ドルのTシャツや下着などを、対面で販売します。
バングラデシュは将来、ファストリの主要な生産拠点の1つとなる見込みで、今回の事業は同国での社会貢献の意味合いが強いものです。また、グラミン銀行と同行総裁のムハマド・ユヌス氏は、少額融資で農村の女性を助ける活動が高く評価され、2006年にノーベル平和賞を受賞しています。
「ZARA」や「H&M」といった世界のアパレルメーカー各社は、バングラデシュを中国に次ぐ第2の生産地と位置づけています。こうした状況下で、ユニクロのバングラデシュ戦略も加速しており、このニュースもその一環のことです。
思えば、1990年代後半にユニクロが低価格を武器に急成長したことで、中国生産のメリットが日本で一気に浸透し、中国進出ラッシュへとつながりました。今回のユニクロのバングラデシュへの注力、活用強化は、日本にバングラデシュなどの国々へ注目を向け、日本のグローバル戦略に、新たな流れを作る契機となるかもしれないものです。
ユニクロの今回の合弁生産には、以下の3つのメリットが考えられます。
一つ目は、こうしたソーシャルビジネスの実施により、ユニクロのバングラデシュにおける知名度やイメージの向上が図れることです。そのことにより、バングラデシュ事業の今後の拡大、人材採用や政府や当局との意思疎通の改善の点で、大きな効果をもたらすでしょう。
二つ目は、バングラデシュの貧困層という将来の潜在顧客に販売することで、さらなる安価な商品の開発、製造のノウハウを蓄積できることです。このノウハウは、今後の世界での商売において、大きな潜在需要を自社の顧客に取り込む可能性を開くものです。
そして三つ目として、今回グラミン銀行と手を組んだことで、グラミン銀行が築いてきた、バングラデシュ国内での貧困層を中心にした、強固な人的ネットワークにアクセスできることです。このネットワークは、今後バングラデシュの農村部での商品販売で大きな武器となるでしょう、またこのネットワークは、衣料品以外でも大きな可能性をもたらしてくれるでしょう。
またこのことは、今後の日本の針路を考えた時に、重要な示唆を与えることにもなります。すなわち、今回のユニクロのソーシャルビジネスは、今後の日本の新たな成長戦略のひとつともなりえるものです。ソーシャルビジネスや社会貢献に強い関心ややりがいを感じている日本人は多く、このことを通じて、多くの日本人のグローバル人材が育つでしょう。
ソーシャルビジネスでは、世界で十分トップに立てる力と環境が日本にはあり、日本として今後伸ばしていくべき分野です。ユニクロの今回の事例は、きちんとベンチマークしていくことで、日本の今後の戦略にもそのノウハウを活用できるでしょう。
このように、このユニクロの新たな事業は、一企業のことだけととらえるのではなく、日本の新たなビジネスモデルのひとつとして、十分に注目していくべきものでしょう。


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